本コンソーシアムには2つのワーキンググループ(WG)が設置されています。詳細はコンソーシアム事務局までお問い合わせください。
WG1: 腐食WG 主査: 五十嵐 誉廣 (日本原子力研究開発機構) |
インフラ構造物や工業部品等、金属材料は様々な分野に使用されています。金属部品は設置環境や使用条件に応じて腐食が発生する場合があり、腐食の進行による性能低下が重大事故や損害につながる可能性があります。そのため、古くから金属腐食に関する多くの研究がなされており、基本的な腐食メカニズムは徐々に理解が進んでいます。しかし、多岐にわたる環境条件ごとの腐食メカニズムの理解は十分ではなく、現在でも多くの研究が続けられられています。一方で、腐食分野は実験による研究がメインであり環境条件ごとに実験を行うことは高コストであることや、実験装置の精度限界を下回る現象については理解が難しいといった課題がありました。そのため、計算科学を用いた腐食研究のニーズが高まっています。 腐食WGでは、腐食研究領域と計算科学領域の研究者が深く議論できる場を提供し、腐食研究領域からの研究ニーズを踏まえたテーマに対し計算科学領域の研究シーズを活用した新たな実験と計算の融合研究体系を構築することで、金属材料の腐食研究のさらなる発展を目指して活動します。 |
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WG2: マテリアルズ インフォマティクスWG 主査: 黒田 文彬 (産業技術総合研究所) |
近年、持続可能な社会の実現に向けて、電池や触媒技術への期待がこれまで以上に高まっています。再生可能エネルギーの効率的な活用や、環境負荷の少ない化学プロセスの実現は、エネルギーや環境問題を解決する上で重要な課題として注目されています。一方、生成AIや機械学習をはじめとする先端的技術が飛躍的に進展し、科学技術分野の研究や開発に革命的な変化をもたらしています。これらの技術は膨大なデータから洞察を引き出し、従来の方法では困難だった現象の解明や材料設計の精度と速度の向上を可能にしつつあります。 こうした技術革新と社会的な要請を背景に、本ワーキンググループでは、生成AIや機械学習に加え、第一原理計算や分子動力学シミュレーションなどの計算技術と材料科学における知識や経験を融合させるアプローチを活用し、電気化学界面反応の理解と応用を進展させることを目的としています。そのために、学術界、産業界、異分野の研究者が連携し、知識と技術を共有する場を提供します。この協働を通じて、電池や触媒技術の進展に寄与し、持続可能な社会への移行を加速させることを目指します。 |
会期 | 2025年9月26日(金)13:30-16:30 |
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主催・協賛 |
主催:(一社)電気化学界面シミュレーションコンソーシアム 協賛:(公社)腐食防食学会 |
会場 |
現地開催 筑波大学東京キャンパス 120/122講義室 参加登録は以下の申込みフォームよりお願いいたします。 技術交流会会場準備が必要となるため8月31日登録〆切とさせていただきます。 申込フォームはこちら |
プログラム |
13:30-13:40 開会の挨拶 13:40-14:25 講演1 講師:京良彦様(株式会社UACJ) 講演タイトル: アルミニウムの腐食・防食における課題と計算科学への期待 概要: アルミニウムは耐食性に優れる材料であるが、環境によっては腐食しその使用が制限されることがある。これに対して、使用環境の適切な選択や各種防食技術の適用といった工学的対策が奏功し、現在に至るまでアルミニウムは広範に用いられている。一方で、実用環境におけるアルミニウムの腐食モードは局部腐食であり、腐食がいつ・どこで・どのように開始するのかといった腐食現象の本質に対する理解はいまだ解明の途上にある。実験的手法に加えて、新たに計算科学からのアプローチを加えることで、従来得られなかった時間的・空間的に微視的なスケールで現象の解明が進むことが期待される。これは、より耐食性に優れたアルミニウム材料を開発につながる重要な糸口であり、もって軽量かつリサイクル性に優れたアルミニウム材を最大限に活用し、ひいては循環型社会の実現に資するものである。本発表では、アルミニウムの腐食についての概説し、工業利用の視点から腐食科学・技術の発展に対する期待を述べる。 14:35-15:20 講演2 講師:大谷実(筑波大学) 講演タイトル: 第一原理計算による電気化学界面シミュレーション技術の開発と腐食過程への応用 概要: 金属の腐食は、電気化学界面における原子・分子レベルの複雑な反応過程によって進行する現象であり、その理解には、第一原理計算をはじめとする計算科学的アプローチが有用な手段として期待されている。本講演では、我々の研究室で開発しているシミュレーション技術を紹介し、腐食反応において重要となる水分子やイオンの吸着、電位変化に伴う表面・界面反応に加えて、酸化皮膜表面における陰イオンの吸着に起因する電荷分離や誘起電場の形成、およびそれに伴うイオン移動の促進といった酸化皮膜破壊メカニズムについて、第一原理計算に基づく解析事例を示す。 15:30-16:15 講演3 講師:五十嵐誉廣(JAEA) 講演タイトル: 第一原理計算を用いた金属腐食研究 概要: 金属腐食現象はその現象の複雑さゆえに、主に有限要素法などの現象論的な計算シミュレーションによる計算科学的アプローチがなされてきた。一方で、近年の計算機性能の向上や新たな計算理論の開発などにより、第一原理計算による腐食現象の研究が可能となってきた。本講演では、固液界面への原子吸着による電位変化、溶液中イオンの吸着による耐食性変化など、腐食研究に対する第一原理計算の適用事例について紹介する。 16:15-16:25 閉会の挨拶 17:00- 技術交流会(会場は後ほどご連絡いたします) 技術交流会の参加費につきましては現在調整中ですが、概ね5,000円程度を予定しております。 |
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